次回の辻説法は 【 得 】 についてです。
拳骨和尚はずいぶん長い間 この 【 得 】 と言う一文字を見逃していたのです。
みなさん ! 一つ前の辻説法で最後に言った言葉です。
それと 辻説法 1386 【 薬王菩薩本事品第二十三 】 で申しました
【 渡りに船を得たるが如く 】 とか 【 貧しきに宝を得たるが如く 】 の得るです。
これを覚えていてくださいと申しました。
如来寿量品の自我偈の冒頭に 【 自我得仏来 】 が出てきます。
同じく寿量品の長行には
【 我実成仏已来 無量無辺 百千万億 那由佗劫 】
「 我れ実に成仏してよりこのかた、無量無辺百千万億那由佗劫なり 」
【 我実成仏已来 復過於此 百千万億 那由佗 阿僧祇劫 】
「 我れ成仏してよりこのかた またこれに過ぎたること百千万億那由佗阿僧祇劫なり 」
【 我実成仏已来 甚大久遠 寿命無量 】
「 我れ実に成仏してよりこのかた、久遠なること甚だ大なり 」
【 我亦如是 成仏已来 無量無辺 百千万億 那由佗阿僧祇劫 】
「 我れもまたかくの如し。成仏してよりこのかた無量無辺百千万億那由佗阿僧祇劫なり 」
すべて 【 成仏 】 と書かれています。
さまざまな法華経の解説書およびネット上の解説を見てみますと ・・・
【 自我得仏来 】 の読み下し分で
【 我 仏を得て自 ( よ ) りこの来 ( かた ) 】 と書かれています。
ところがほとんどの日本語訳では 【 私が仏に成ってから 】 です。
【 成 】 仏と 【 得 】 仏 ・・・
意味が違うのでしょうか ?
う ~ ん
拳骨和尚はまたも ・・・ 考え込んでしまいました ・・・
ところが寿量品の長行が終わる寸前 !
自我偈に入る直前に !
【 我亦如是 ・ やくぶにょぜ 】 ( 我も亦 是の如し ) と言う
謎の言葉が出てきます。
『 私も亦このようなものである 』 の意味です ・・・
このところ 【 譬如良医 ・ ひにょうろうい 】 の例えだとばかり思っていた ・・・
医者である父の留守中に毒を飲んだ子供たち ・・・
家に帰ってきた親父は狂える我が子を救うため
此大良薬を与えた ・・・
しかし飲まない子供たちがいた ・・・
この親父方便を用い旅の途中で死んだ ・・・ と告げた
しかし旅立つ前に是好良薬を残し ・・・
父が死んだ知らせを受け取った子供たちは是好良薬を服して ・・・
毒の病が皆治ってしまう ・・・
この医者である親父の嘘 ( 虚妄罪 ) を ・・・
不 ( ダメだと説く者がいるだろうか )
と言う話です。
拳骨和尚も多くの人たちと同じ思い ・・・ 勘違いをしていました。
この親父である医者のこととお釈迦様が
【 我亦如是 ・ やくぶにょぜ 】 ( 我も亦 是の如し ) と思っていた。
であるならば 【 自我成仏来 】 と書かなくては ・・・ 自然ではない
それをわざわざ 【 自我得仏来 】 と書かれている ・・・
何故なんだろう ?
ここで 【 得 】 の字の意味を調べてみましょうか。
意味が解からなければ如何ともしようがありません。
どうすることも ! I CAN NOT です。
【 得 】 : 漢・呉 トク
1.エる。 ウる。
イ.手に入れる。 自分のものにする。 取得、習得、獲得
ロ.つかまえる。
ハ.望みがかなう。
二.満足する。 自得。
ホ.さとる。 知る。 了得。
へ.よくばる。 むさぼる。
ト.とくをする。 利を得る。
チ.あたる。
リ.気が合う。 君臣相得。
2.・・・エる。 ・・・する機会がある。 ・・・することができる。
3.うまい。 よい。
4.利益。 もうけ。 利得。損得。
5.徳。
【 字源 】 : 会意、彳 ( 行く ) と貝 ( 昔の貨幣 ) と寸 ( 手 ) の合字。
行って貝を手に入れる意味。 ひいて手に入れる利益の意味となる。
得と成は明らかに違うな ~
妙法蓮華経の言う 【 自我得仏来 】 でお釈迦様が得た仏とは ・・・・
ますます謎が深まるばかりです ・・・・
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