みなさん ! ごきげんいかがですか。
拳骨和尚の身延山初参拝の話はどうですか ?
本当に誰もいませんでした。
あのタクシーの運転手の人は嘘を言ったのか !
いや ! そんな事を言う必要があるだろうか ?
言う必要など無い !
ではなんなんだ ! ?
と思いながら御題目を唱えていました。
終わって足の痺れを解きながら足をさすっていました。
完全に 【 ノーマーク 】 です。
人間 !
一人だと錯覚し勘違いすると心が油断するようです。
自宅で一人でくつろいでいる時とほぼ同じ状態です。
立ち上がり一礼して後を向きました。
【 わあ〜 ! 出たあ〜 ! 】
腰が抜けました。
拳骨和尚さん !
何が出たのですか ?
幽霊でも出たのですか !
いやいや ! 拳骨和尚も武術家の端くれだと自負していましたが
面目丸つぶれでした。
年の頃なら三十路に入ったばかりの美しい女性です。
挨拶いたしました。
お早うございます !
すぐに姿が変わりました。
六十半ばのおばあさんでした。
年は定かではありませんが ・ ・ ・
左手に線香の束を三つ持っておられました。
御廟所にお参りされた方ならご存知でしょが木の階段の手前に
直径80センチぐらいの青銅製の香炉があります。
参拝の沢山の方がお線香を焚かれます。
そのおばあさん ! お線香に火をつけておられませんでした。
拳骨和尚はそのお方に
そこでずっと待っておられたのですか ?
いいえ ! 今着たばかりですと嘘をつかれました。
三十分は待っておられたのでは ・ ・ ・
本当にすみません。
言ってくださればよいのに ・ ・ ・
一所懸命に御題目をお唱えしておられる人の邪魔をすれば
罰が当たります。
これには参りました。
【 ありがとうございます 】 と一礼してお別れしました。
この人にもう一度此処でお会いするとは ・ ・ ・
この時は夢にも思いませんでした。
さて ! 御廟所を後にして右手の方に下って行きました。
すると !
とても 【 幻想的な灯り 】 が燈るお堂が見えて来ました。
居ても立ってもいられなくなり
吸い込まれるように中に入りました。
【 摩利支天 】 をお祀りしてある御堂でした。
拳骨和尚は今までたくさんの表装の表具を見てきましたが
通常 【 一文字 】 にしか使われない
日蓮宗の紋所の 【 井筒立花 】 の入った
【 赤 ・ 朱 】 の生地でしたものを初めて見ました。
強烈でした。
【 徳川四天王 】 の
【 井伊の赤揃え 】 の朱塗りの甲冑を思い出しました。
茶の湯の場での掛軸は 【 わびさび 】 を好みます。
この朱の表具の掛軸は絶対に茶の湯では使われないと思います。
【 摩利支天 】
原語の 【 Marici ・ マリーチ 】 は 太陽や月の光線を意味する。
摩利支天は陽炎 ( かげろう ) を神格化したものである。
陽炎は実体がないので捉えられず焼けず濡らせず傷付かない。
隠形の身で常に日天の前に疾行し自在の通力を有すとされる。
これらの特性から日本では武士の間に摩利支天信仰があった。
日本では護身 ・ 蓄財などの神として中世以降信仰を集めた。
楠木正成は兜の中に摩利支天の小像を篭めていたという。
禅宗や日蓮宗でも護法善神として重視されている。
摩利支天は元来女神であるが男神像としても造られるようになった。
像容は二臂の女神像 ・ 三面六臂または三面八臂で猪に乗る姿などがある。
『 ウィキペディア ( Wikipedia )』 より。
なるほど !
戦場で一番目立つのは 【 赤 ・ 朱 】 か !
臆病者は決して身に纏うことが出来ない鎧です。
何故か !
この鎧を身に着けると戦場の何処からでも殺しにやって来ます。
この真紅の表装の大曼荼羅がこの世に一体ぐらいあっても良い !
と本気で思うようになりました。
さて !
摩利支天堂を跡にして本堂に向かい歩き出しました。
あのタクシーの運転手に文句を言ってやろうと思いながら ・ ・ ・
つづく ・ ・ ・
拳骨和尚
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